ソロ活おっさんのアローン飯なび

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美味しい餃子の条件とその断面について

うまい餃子の条件について、色々と食べ歩いてきた結果。
ある程度、法則化できたので。
その条件を以下、6つの条件を軸に、語ることにする。

(1)しっかり捏ねられた生地で、皮にモチモチ感があるかどうか

まず、生地すなわち餃子の皮が、美味しいかどうか。
具体的に言うと、ミスター味っ子10巻のこの一節が、うまい餃子の皮について端的に述べている。

ミスター味っ子10巻にもあるように。

この皮のパリッとした香ばしさ
表面はキツネ色にこんがりと焼けてえもいわれぬ歯ざわりだ

しかし!!それと同時に裏側はふっくらやわらか仕上げ
ふっくらぷりぷりしたやわらかい感触が肉の香ばしさとすばらしい対比を作っている!!


(引用元:ミスター味っ子(10)[ 寺沢大介 ]p113)

とね。
例えば、練馬の小姑娘の餃子のように。

表面はこんがり焼けてパリッとしていて、噛むともちっと弾力のある皮の旨味が味わえる。
池袋の「開楽本店」も、皮がモチモチして美味い餃子だった。

もちもちの皮にするには、中華一番3巻にあるように。

しかもこの皮と餡は実によく練りこんである
きっとあの大きな御仁の怪力によるものだないや・・たいしたものだ


(引用元:中華一番!(3)[ 小川悦司 ]p68)

しっかりと生地が捏ねられていることが重要。
捏ねられた生地は、グルテンを形成しているのが伺える。
グルテンを形成しているということは、旨味成分であるグルタミン酸も豊富ってことだからな。

(2)焼き餃子の場合は、パリッと香ばしく焼かれているか

しっかりと表面をこんがりと火入れする。
これをする味的な意義として、メイラード反応がある。

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の記事で、美味しい春巻においてもそれが起こっていた。
メイラード反応とは「タンパク質に糖が結合した糖化」であり、それを促すことにより、甘味や旨味が向上する。

先の(1)においては、生地の捏ねに由来する旨味の向上だが、こちらは火入れに由来する旨味の向上だ。

池袋の「銀座天龍」の餃子は、もちもちと捏ねられた皮の旨味、しっかりと表面が焼かれた皮の旨味、双方を味わうことができる。

solomeshi.netしかし皮が分厚すぎて、大きすぎると、中の餡の味の存在感が希薄になる恐れもあるゆえ、大きな皮をしっかり焼けばいいというわけでもない。
逆に、皮を薄くして中の餡を味わわせる餃子もあるだろうからね。

(3)餡はジューシーで温度があるか

先の「天龍」の記事のにおいて。
餃子が早く提供されすぎたことにより、作り置きを疑われる口コミを紹介した。
まあ、たこ焼き屋とかでもね、多少の焼き置きだとか、蕎麦屋の天ぷらの揚げ置きだとか、飲食店においてはそういう作業を先行して行うのは仕方ない部分がある。

しかし時間が経ってしまうとだね。
先日、話をしたアブラ(脂・油)の劣化の話にもあるように。

中の餡の脂、例えば豚挽肉等の肉汁が冷えてしまって、風味が落ちる懸念が発生する。
やはり待ったとしても餃子は焼き立て、が欲しいところだね。

長野の「新京亭」で食べた揚げ餃子も。

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まあまあ美味しいが、少し冷めていて、肉汁をあまり感じなかった。
おそらくだが、時間経過による温度低下、肉汁が皮の方に流出してしまうんだろうね。
熱力学第二法則によれば、温度は高いところから低い所へ熱移動する。
餃子を揚げた際に温度が高くなるのは、挽肉の脂付近だろう。
その脂が溶け、温度が高い肉汁が、温度の低い野菜や皮の方に移動する。

それは別に、食材同士が混然一体となることの促進、いわば馴れ寿司等で「味をなじませる」という料理手法と同じく、悪い事ではないかもしれないが。
しかし、肉汁や野菜の水分が、皮の方に移動してしまうのは、肉餡自体の味や風味の「味が抜ける」という状態も招いている可能性がある。

したがって、餃子は焼き立て、揚げ立て、茹で立てが望ましい。
時間経過によって、旨味や甘味を有する水分の移動や流出が起こらないうちに食べること。
すなわち、餡が水分を保持している状態で食べるのが、一番美味しい。
だから高い温度、餡のジューシーさが重要だ。

(4)野菜餡の甘味、があるか

水野真紀の魔法のレストラン京阪神 地元民が自慢したい町中華」の回で。

京阪神 地元民が自慢したい町中華 | 水野真紀の魔法のレストラン | MBS 毎日放送

mahou-contents.mbs.jp

ケンドーコバヤシが、「野菜餡強めの餃子がいいですね」と語っていた。

そう、別に挽肉餡を重視する必要はなく、野菜餡をメインに据えて餃子を作るのもいい。
先の(3)でも説明したように。
挽肉や肉餡の場合、時間経過や焼いている過程等において、餡から肉汁が流出し、「味が抜ける」可能性がある。

鶴見の「福盈門」という店は、チャーハンは絶品だが、焼餃子はどこか肉のコクが弱いような気がした。

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それはおそらく、肉ダネが大きすぎること、野菜が少ないことにより、肉汁が流出したのではないかと推測される。

つまり、挽肉中心で餡を作ると肉汁流出のリスクも大きいゆえ、その挽肉の肉汁を受け止める存在として、餡に野菜を入れるのが必要になってくる。

以前の記事でも紹介したが、肉汁の流出を防ぐために「麩」を使うとかね。

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そう、さっきの森田氏のお店にもあるように。
美味いハンバーグは、いかに肉汁を留めながら火入れするか、が重要だ。

肉汁が流出しないための堤防を何にするか?だ。
だから、京都の「六花界Blender」は、麩を入れて肉汁を受け止めたり。

つまり野菜餡は、肉汁を吸収したり、流失を受け止める堤防として機能し得る。
また、野菜餡を効果的に使うことで、キャベツのグルタミン酸と挽肉のイノシン酸で旨味の相乗効果も狙える。
そのため浜松餃子のように、野菜餡を中心に据えるのは、肉餡にとっても合理的な選択かもしれない。

(5)肉餡の肉汁、甘味や旨味があるか

先の(3)や(4)の話にも関連しているが、餃子は皮も大事だが、挽肉と野菜のバランスによって味が大きく変わる。
挽肉を増やせばいいというわけでもなく、餡は大きいにも関わらず、肉汁が少なかったり、肉のコクが弱い餃子があったりする。

肉汁の美味しさを保持できているかどうかは、餃子の成型方法や、火入れの方法の影響を受ける。
例えば、餃子を包む時に襞の数を多めにして、しっかりと包む店もあるだろう。
餡を頑丈に包むことにより、加熱による肉のタンパク質の収縮によって肉汁が皮の外部に流出するのを予防する。

しかし一方、しっかり包まない店もある。
上に紹介したテレビ番組で、ケンドーコバヤシがおすすめしていた東大阪の「八戒」という店がある。
この店の餃子は、ラード・しょうゆ・オイスターソース・塩・砂糖・こしょうをボウルに入れ、そこに豚ミンチ・鶏ミンチ・背脂ミンチの3種を加え、しっかり混ぜ合わせた後に。
ニンニク・ニラ・生姜と、水分を絞ったキャベツを混ぜ合わせ、捏ね合わせて餡を完成させる。
そして皮で包むときに「襞はほとんどなく、軽く蓋をするように包む」「すると肉汁で膨らみふんわりする」と、ナレーションしていた。
そして「油を引いた鉄板に水をたっぷり入れて蒸し焼きに」する。
ここでポイントは「蒸し焼き」だという点だ。
また、襞は上向きになっていた。
つまり蒸し焼きにすることによって、餃子の中から肉汁が流出するのをなるべく抑えているのだと推測される。

また、皮を厚くするという方法もある。
蒲田の「ニイハオ 恵馨閣(けいしんかく)」の焼き餃子は、皮が厚い。

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厚いことによって、肉汁の流出を防ぐことができる。

また加熱以前に、これはハンバーグも同様だが。
「捏ねすぎる」ことによって、指先の体温等から肉の脂を溶かしたり、つなぎや肉以外の材料を加えることによって、肉ダネ自身の味がぼやけて薄くなる可能性もある。

そのため「ニイハオ 恵馨閣」の餃子の断面を見ればわかるが。

挽肉の目が、粗く見える。
粗挽きなのがうかがえる。
「捏ねすぎてもいない」ような気もする。
挽肉本来の味を活かすため、手でこねくり回して素材の味が抜けるのを予防しているのが伺える。

鮨においても「何手で握るか」という話が重視されるように。

寿司というのは生魚を手で握るんやからね
ネタが傷まんように最小の手数で握ることが肝心なんや 

(引用元:将太の寿司 4巻 [ 寺沢大介 ]p36)

手を加え過ぎないことによって、食材の美味しさを最大限に引き出すという考え方もある。

もちろん、肉餡中心で勝負しなくてもいい。
横浜中華街の「楽園」の餃子は、生姜の風味が美味しい餃子だったし。

solomeshi.net「麺処いっぱく」というラーメン屋の餃子も相当美味かったが。

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このお店のように、美味いスープで餡に味付けしたり。
皮に味付けするのもいいだろう。

挽肉から出る肉汁の美味しさは餃子において重要ではあるが、しかし、必ずしも必要というわけではない。

美味しい餃子⇒肉餡が美味い

は、成り立たない(偽)。
餃子ならば肉餡、というわけではない。
野菜餃子やチーズ餃子、タレの味付け等、肉餡が強くなくても美味しい餃子はある。
ただ、逆は成り立つケースが多い。

肉餡が美味い⇒美味しい餃子(真) 

つまり肉餡は、美味しい餃子にとっての十分条件ではあるが、必要条件ではない。

合ってるか、この解釈。
進研ゼミでもう1回、勉強しないとだな。

必要条件・十分条件|数学|苦手解決Q&A|進研ゼミ高校講座

kou.benesse.co.jp

(6)餡のテクスチュア(食感)は最適か

条件の(1)は、皮のテクスチュアの話だったが。
中の餡の方も、食感は重要だ。

例えば滑らかで食べやすい餡。
中華一番3巻で紹介されているような餡の場合は。

あんはトロけるように滑らかで
かみしめる度に口の中いっぱいに旨い汁が広がり
ピリリと辛い風味が舌を心地良く刺激する


(引用元:中華一番!(3)[ 小川悦司 ]p74)

豚の背脂(ラード)等を使うことで、それが舌先で溶けることによって「とろける」食感と脂のコクを実現する。
それも美味しいかもしれないが。
逆に(5)でも語ったように、挽肉や野菜を混ぜ合わせる段階で、混ぜすぎたり捏ねすぎることによって、野菜や肉の風味が逃げている可能性もある。

だから一概に「餡が滑らかだからいい」というわけではない。
牛100%の粗挽きハンバーグを食った時のような、滑らかさが無い餡の方が、肉汁や旨味が保持されてるケースもあるからね。


まとめ

以上、美味い条件の一覧を語ってきたが。
一覧にするとこうなる。

(1)しっかり捏ねられた生地で、皮にモチモチ感があるかどうか
(2)焼き餃子の場合は、パリッと香ばしく焼かれているか
(3)餡はジューシーで温度があるか
(4)野菜餡の甘味、があるか
(5)肉餡の肉汁、甘味や旨味があるか
(6)餡のテクスチュア(食感)は最適か


餃子マニアの人ほどは巡ってないが、全てが必須条件とも限らない。
料理はバランスが重要で、たとえば(1)を満たさない、薄皮でもちもちしていない皮だとしても。
逆に、皮に邪魔されず、餡の味を最大限に味わえる場合もある。
博多餃子とかでも、薄皮多いよな。

(4)と(5)もそうで、挽肉の旨味やコクや脂の甘味を重視するのか、野菜の風味や甘味を重視するか、つまり肉餡重視か野菜餡重視かによって、味わいは異なるだろうし。
両方混ぜ合わせて、バランスが取れる一点を狙った餃子もあるだろう。

ただ(6)においては、やはりハンバーグと同じく、肉ダネが小さすぎたり、キメが細かすぎる餡の場合は、味が抜けていることが幾度かあった。

そのため、出来立てや温度に関わる(3)と、舌触りや食感に関わる(6)については、必須条件でもいいかもしれないね。

今後も美味い餃子、見つけたら、紹介していく。

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