ソロ活おっさんのアローン飯なび

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アブラ(脂・油)が冷えると料理がまずくなる理由(空気に触れ酸化が進んだアブラの臭いや劣化した味が他の具材に移るから)

大阪のとある料理店。
豚バラを乗せた、豚バラ丼みたいな料理を食べた。
米はうまかった。
もち米のようにモチモチしていて、優しい甘味がある感じだった。

だがしかし。
物足りない点が3点ほどあった。

まず1点は、味付けが一本調子だということ。
豚肉を焼いて載せ、そこにガーリックチップをまぶすというシンプルな料理だが。
シンプル過ぎて、足し算が足りていない。

例えば、豚肉と一緒に、卵も焼いて、和える。

solomeshi.net

の記事でも語ったが、卵はグルタミン酸が豊富だ。
だから、豚肉のイノシン酸の旨味と、相乗効果を狙える。
卵も使うべきだった。

なぜ鶏そぼろに、炒り卵、すなわち、卵そぼろを合わせるのか?
鶏そぼろだけだと、何か物足りないのか…それは、求めてるんだ。
卵の旨味、そのグルタミン酸を、肉のイノシン酸と掛け合わせた時の美味しさ。

まあ原価は上がってしまうだろうけどね。

そして2点目、ここからが、今日の本題でもある。
それは「油が浮いていた」ということ。
この画像を見れば、それが伺えることだろう。

米は美味いのに、豚肉から漏れでた油が…かなり、皿に浮いてた。
米の温度は高くないので、油も冷える。

そして油が冷えると、味が落ちる。
油にはべたつきもあるからな。

しかしそれでもなぜ、料理には油を使うのか?
油を使う理由は?
なぜ、油によって、料理が美味くなるのだろうか?

それは、以下のサイトで端的に説明してくれている。

「天ぷら、フライ、油で揚げるとどうして美味しくなるの?」 | 食用油活性化装置「カラット君」

karattokun.bn-solutions.jpそれは、簡単に言えば、水の沸点である100度以上の温度で調理できるからです。もちろん直接「焼いたり、炒めたり」することは、火の温度で調理できるわけですが、それはそれ。食材を均一に高温で、しかも焦げるなどの変化(苦味)もなく調理できるのは、「煮る」「揚げる」です。「煮る」のは水の沸点までの温度内での調理法ですが、「揚げる」のは180度程度までの油の高温を利用した調理法です。

そう、水よりも高い温度で調理できる…これが、油のメリットだ。
天ぷらの話を引用したが、それだけではない。

唐揚げとかもそうだ。

あなたの知らない「揚げもの」の世界|森田建築

note.com

唐揚げは粉でできた薄い衣なので油の温度が高いと熱が中心に伝わる前に表面が焦げてしまいます。
そのため、まずは低温で揚げて食品の中心部まである程度(鶏肉のコラーゲンの収縮を防ぐために中心温度を65℃程度まで)火を通します。
低温で揚げただけだとベチャっとしているので、カリッとさせるため高温で2度揚げし、表面の水分をしっかり蒸発させるのです。

そして、炒め物においてもだ。

油のおいしさには3つの側面がある。

天かすで化けるかけそば 逃れられぬ「油の魅力」

www.nikkei.com

大手製油会社、J―オイルミルズの渡辺健市テクニカルソリューションセンター長によると、油のおいしさには3つの側面がある。1つ目は風味や調味といった味に関わる部分。味をまろやかにするほか、味が持続しやすくなる。2つ目は香り。揚げ物の香ばしさなどを指す。最後は食感だ。なめらかさ、のどごしや、味をまとめる物理的な効果が油にはある。

と言われているように。
油を使えば風味、香ばしさ、食感など、食材の美味しさが底上げされる。

しかし一方で、アブラは風味を落とす場合もある。
と、アブラと書いたが、これは脂と油の両方を指してるからな。
脂は固体、油は液体、という認識でいい。

だが脂や油が、逆に味わいを落とすこともある。
空気に触れると酸化するように。

アブラ(油・脂)の多い食事がおいしい理由

allabout.co.jp

反面、アブラは空気に触れると酸化するという悪い面も持っています。アブラが酸化することを「アブラが劣化する」と言いますが、色や風味、食感などが悪くなるばかりでなく、健康にも悪影響を与えてしまいます。酸化の主な原因は、光、熱、生鮮食料品に含まれる酵素などです。酸化を防止するには、光の遮断や、抗酸化剤の使用、低温保存による酵素の働きを抑える、酵素を除去するなどの方法が有効です。

油脂の味、という論文の97pにも。
酸化したアブラについての味わいについて書かれていた。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1956/19/8/19_8_612/_pdf

ところがこの油が酸化を受けると臭気を発し,味も無味とはいえなくなってくる。酸化によって過酸化物が生じ,さらにそれが分解してアルデヒド ,ケトン, 遊離脂肪酸が増加し,もちろんグリセリド自体も変化している。これら油脂中の成分的変化,構造的変化が油を無味でないものにしているのであろう。

そう、空気に触れて酸化が進んだ油、冷えた油は、臭気を発する。

例えば、豚肉から流れる油が冷えて固まったラードみたいにね。

冷やすと白く固まる油について教えてください。 - 料理サイトをみて、豚... - Yahoo!知恵袋

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

もちろん、華中華1巻でも紹介されていたように。

このラードには肉の香ばしさと旨味も入っている。
だから余計な物を入れなくてもいいんだ。

普通のチャーハンには焼き豚やハムだが…
今日は油を取った、この食感と味のいいバラ肉を使ってチャーハンを作る。

バラ肉は塩とコショウの下味をつけておく。
これだけでも旨いぞ…食べてみなさい。

(引用元:華中華(1)[ 西ゆうじ ]p164)

ラードは豚の脂で、豚の旨味があるので、高温でチャーハン等に利用すると美味しい。
しかし、冷えて蝋燭のように固形化すると、まずい。

冷やし中華の油もそうだ。

ズバリ!冷やし中華がおいしくない理由|トッキー/凡人コック

note.com

②調味料・・・ラーメンに必要不可欠な香油も鶏油などをベースに作っているものが多く冷えると油の塊となって浮かび上がってきます。

以上のように、脂や油が冷えると、ろくなことがない。

で、美味しくなかった豚バラ丼の話に戻ると。
3点目、メイラード反応の不足、だな。

例えば美味しいルーローハンは、しっかりと肉を炒め、焦げ目ができているものもあるし。
また、肉がダイスカットされているゆえ、豚肉の脂身から、油も既に多めに出ている。

それは肉汁の流出、かもしれないが。
流出した肉汁で肉自体を加熱できれば、油による高温調理となり、メイラード反応も期待できるし、肉自体の油による風味付けもできる。

そして肉自体が出る油は、肉との一体感もあり、美味しい場合が多い。
美味しんぼ4巻にもあるように。
美味しいチャーハンも、油によって風味付けすると同時に、その油を高温で飛ばして、「油が冷える」という状態を避けるように仕上げる。

以上の話より、アブラは頼もしい味方ではあるが。
同時に、冷えた脂や油が、ご飯や、全体の風味を落とすゆえ。
諸刃の剣のような存在といえるな。

アブラを使わないわけにはいかない。
アブラを避けると、吉野家の親子丼のように。
鶏肉のアブラが足りず、淡白な味となり、物足りない仕上がりになってしまう。

もし、米と油を合わせるなら、油の温度低下や酸化を防ぐため、一気に炒めて高温調理するか。

以前の記事でも紹介したけど。

solomeshi.net

将太の寿司18巻の話にあったように。
酢飯を赤酢で作ることで、大トロのアブラの旨味やコクを受け止める。

そこでオレが目をつけたのがこの赤酢だ
これは普通の米を原料にした白酢と違って
酒粕をもとに発酵させたものだ

昔はほとんどの寿司屋が酢飯(シャリ)に赤酢を使っていた
香りと酢飯が強く少しクセがあるが
味わいはずっとまろやかでコクがあるんだ!!


(引用元:将太の寿司 18巻[ 寺沢大介 ]p40)

アブラに負けない、強い甘味と酸味を備えた酢飯を作る。
そういった配慮をしないといけない。

油を切れているか、高温で飛ばして、温度低下を防げているか。
素材から流れ出たアブラで、米や全体の風味は落ちていないか。
それらの点に注意する。

また、足し算によって、温度の低い油による風味の劣化を防ぐ方法もある。
例えば、食べるラー油にあるように、辛味を加えたりだとかね。

そんな風に「料理のアブラ量」のようなものをね。
美味いご飯作ってくれる料理人は、意識してほしいなぁと思う。