正月番組の、芸能人格付けチェックで。
芸能人格付けチェック!2024お正月スペシャル
一流の炒飯を当てる企画が催されていた。
まず、正解のチャーハンが。
東京・赤坂、2年連続ミシュラン1つ星取得の「メゾン・ド・ユーロン」。
炒めの達人、阿部淳一シェフが。
北海道オホーツク産のズワイカニ(1杯2万9400円)とホタテ(1枚2850円)と、サイマキエビ(1尾540円)を使って生み出す、究極の海鮮チャーハン。
そして、不正解のチャーハン。
東京の葛飾区、町中華の仙楽園。
キタナトラン、にも選出された店で、お店の看板メニューは味噌ラーメンらしい。
その店の園山孝志シェフが。
スーパーで手軽に入る冷凍食材を使用して作る、海鮮チャーハン。
もう1つ、不正解のチャーハン、これを間違えたら人として恥ずかしい、絶対アカンのが。
格付けマスター、浜田雅功シェフが作るチャーハン。
得意料理は卵かけご飯。
カネテツデリカフーズのほぼシリーズ、ほぼカニ、ほぼエビ、ほぼホタテ等を使って作る、浜田チャーハン。
2ランクダウンのチャーハンだ。
で、結果は…驚くべきものだった。
A:メゾン・ド・ユーロン(正解)
チーム GACKT:GACKT、DAIGO
B:浜田軒(浜田チャーハン、不正解2ランクダウン)
チーム 前川清ファミリー:前川清、紘毅、前川侑那
チーム ガラスの城:波瑠、髙嶋政伸
チーム おっさんずラブ:田中圭、林遣都
チーム ある閉ざされた雪の山荘で:中条あやみ、間宮祥太朗
チーム 乃木坂46:梅澤美波、与田祐希、賀喜遥香、井上和
C:仙楽園(不正解1ランクダウン)
チーム 芸人:ブラックマヨネーズ(小杉竜一・吉田敬)、タカアンドトシ(タカ・トシ)
と。
そう、ほとんど皆、浜田チャーハンを選んでしまった。
料理番組を持っているDAIGOでさえ、Bを選び。
ガクトが米粒2粒でAの美味しさを感じ取り、正解を選ぶことができたけど。
結局、Aを選ぶことができたのは、GACKTと髙嶋政伸だけだった。
これには驚いたね。
ではなぜ、浜田チャーハンはそこまで美味しいのか?
レシピが公開されて。
浜田チャーハン(浜田炒飯)レシピはこちらです
— 冬の寒さに凍えるきっしー (@kissy_dance_) 2024年1月7日
簡単ですね!!!!!!
#格付けチェック pic.twitter.com/3wGRokb8xR
美味さの理由を追求する人たちも出てきた。
格付けチェックで話題の浜田チャーハン、レシピ公開で味の決め手を考える皆さん「このレシピやってんねぇ」「本物より風味出そう」
味の決め手はラードと紹興酒、と。
確かにそれはある。詳しく説明しよう。
1.ラードのイノシン酸の活用
浜田チャーハンに使われた油は、レシピによるとラード(豚脂)だ。
これは旨味を高めるのに重要な要素の1つに間違いない。
植物性油より、動物性油の方がチャーハンが美味しくなるという話があるし。
絶対においしいラーメン屋の激うま炒飯(チャーハン)の作り方
raamenkaigyou.com当たり前の話だが、植物性油(サラダ油や菜種油)より、動物性油(ラード・鶏油(チーユ)・牛脂)の方がうまい
また、ラードはイノシン酸や旨味成分が豊富な脂だ。
島々の海の旨味をたのしむオンラインイベント 〜 離島の極上ダシを味わう旨味体験会 ~ を開催しました!|ritokei(離島経済新聞)
ritokei.com「利尻島の人たちはラーメンが大好き。昆布でダシをとってラードを入れてつくったラーメンは昆布の風味がしておいしいです」と話す八木橋に、うすいさんが「昆布はグルタミン酸含有量が世界一の食材。昆布ダシにラードを入れるとイノシン酸が加わり、ダシを濃厚にしてくれるので、理にかなった食べ方ですね」とコメント。
うすいさんの「イノシン酸の含有量トップは、煮干し。いりこにはグルタミン酸とイノシン酸の両方が含まれているのでおいしい」との解説に、伊吹島担当のゆうさかなさんの目がキラリ。「あごもイノシン酸が豊富。顔はきついけどダシの味はまるい」(うすいさん)など、3島のダシのおいしさを楽しく深掘りするトークとなりました。
漫画の華中華1巻でも、チャーハンを作る前に豚を焼いて、上質なラードを採るシーンもあったからね。
このラードには肉の香ばしさと旨味も入っている。
だから余計な物を入れなくてもいいんだ。
普通のチャーハンには焼き豚やハムだが…
今日は油を取った、この食感と味のいいバラ肉を使ってチャーハンを作る。
バラ肉は塩とコショウの下味をつけておく。
これだけでも旨いぞ…食べてみなさい。
(引用元:華中華(1)[ 西ゆうじ ]p164)
2.紹興酒の旨味成分の活用
浜田チャーハンが美味い理由、紹興酒を使っている点も挙げられる。
これは、旨味成分が豊富なお酒らしい。
日中友好協会の会報誌における8回目の連載が刊行されました。
shokoshu.co.jp紹興酒のアミノ酸含有量は酒の中で群を抜いて高く、宝酒造の調べでは、アミノ酸総量が6670.9mg/L、日本酒の1.6倍、ビールの6.8倍、ワインの4.25倍となっています。さらに21種類もの天然のアミノ酸が豊富に含まれており、8種類の必須アミノ酸もそろっています。
いつもの家庭料理を格上げしてくれる!「李錦記」オイスターソース×「永昌源」紹興酒|KIRIN
内海:紹興酒は、他のお酒よりアミノ酸の量が非常に多いので、旨みもぐっと増すんです。だから、飲んでもおいしいけど、調味料にも適しています。紹興酒は、口の中の脂身や脂っこさをさっぱりさせてくれる酸味もあるので、肉料理や濃い味付けの料理にも合います。油っぽさを中和してくれるので、口の中がリセットされて、次の食事がよりおいしくなるんです。
そして、
https://researchmap.jp/read0025533/misc/27900166/attachment_file.pdf
という論文によると、グルタミン酸ももちろん含んでる。
だから、ラードのイノシン酸と、紹興酒のグルタミン酸の相乗効果で、チャーハンがうまくなるんだね。
と、よくある話だな、これは。
昆布と鰹でダシを取る理由でもよく説明されてるよな、グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果の話は。
もう1段階、話を進めよう。
3.アミノ酸が豊富な紹興酒で旨味の組み合わせが増える
少し、話が脱線するが。
有吉の世界同時中継、というテレビ番組がある。
有吉の世界同時中継 北関東3県vs千葉“うまいもん行列グルメ対決”54連発SP字幕放送
2023年12月7日の放送で。
群馬県甘楽郡下仁田町、創業60年の「一番」が紹介されていた。
番組では、店主がキャベツ、白菜、玉ねぎ、下仁田ねぎをカットし、それを豚挽肉と合わせる仕込みを、なんと朝5時からしていたんだ。
作り置きせず、営業中に注文が入ってから包むがゆえ、皮の乾燥を防ぎもちもちの食感を保てるそうだ。
で、ここに重要なポイントがある。それは「餡」だ。
キャベツ、白菜、玉ねぎ、下仁田ねぎ…これほどまでに野菜を入れる餃子は、果たしていくらあるだろうか?
たとえば、餃子の王将の餃子は。
王将のこだわり | 餃子の王将
www.ohsho.co.jp主要食材(豚肉、キャベツ、ニラ、にんにく、生姜、小麦粉)
と、食材における野菜は3種類(キャベツ、ニラ、生姜)だ。
一方、群馬の一番は、野菜が4種類(キャベツ、白菜、玉ねぎ、下仁田ねぎ)もある。グルタミン酸が豊富な白菜まで入れてる。
にんにくはおそらく、両店とも入れているだろう。
にんにくはグルタミン酸含有量がトップクラス。 | 無農薬にんにくの栽培・通販 – チャンク農園
そう、「王将」の餃子餡と「一番」の餃子餡を比較した際、おそらく具材の多さは「一番」の方だろう。
で、話を浜田チャーハンに戻すと。
食材の足し算をしすぎると、味が散漫になる可能性もあるが。
難しい足し算がうまくいった際、旨味の相乗効果は跳ね上がる。
「一番」の餃子においては、野菜の種類の豊富さが、旨味の相乗効果を起こしていると考えられる。
豊富な野菜の旨味成分が、豚挽肉の餡に含まれるイノシン酸と掛け合わされ、美味しい餃子餡を作るように。
同じく21種類のアミノ酸を含む紹興酒も、いわば組み合わせを増やす存在だ。
グルタミン酸の例を前述したが。
それだけじゃない。
先の論文「紹興酒の熟成に伴うアミノ酸代謝物の組成変化」を読むと。
「グリシン」という旨味成分も、豊富に含まれていることがわかる。
そしてそのグリシンは、イノシン酸とも相乗効果を起こすらしい。
味に関わるおいしい話④ 遊離アミノ酸と味について - 食環境衛生研究所
つまり、浜田チャーハンは、よくあるグルタミン酸とイノシン酸の相乗効果だけで説明できる味じゃない。
さらに、ほぼシリーズでもあるものの、ほぼカニは、カニに寄せているのであれば、これもグリシンを含んでいる。
おいしさを科学する うま味物質はダシの主成分
http://marumiyashiitake.com/news/taste_vol05.pdf
たとえば、カニやエビの独特の甘味は、甘味系アミノ酸のグリシンによるものです。ウニの独特の風味に不可欠なのは苦味のあるメチオニンです。ウニのエキス成分からメチオニンを除くと、エビやカニのような味になります
コハク酸の多いホタテ(ほぼホタテ)等も、具材として加わってる。
ホタテに含まれる豊富なうまみ成分とは | 【公式】京都 瓢喜(ひょうき)|全席個室「しゃぶしゃぶ・日本料理」東京で接待・会食・お祝いなら【京都 瓢喜】
ホタテには、うま味成分であるアミノ酸やグルタミン酸、コハク酸やタウリンなどが豊富に含まれているので、お料理に加えるだけでワンランク上の味に仕上げることも可能です。
カーニバルだ、本当に。
21種類のアミノ酸の種類、手数の多さ、旨味の含有量が豊富な紹興酒。
それに、ラード、カニ、ホタテ…等を組み合わせた。
紹興酒があることで、他の具材との化学反応を、指数関数的に増やしたんだ。
この旨味成分組み合わせの多さが、浜田チャーハンが美味しい理由と言ってもいいだろう。
4.まとめ及びオホーツク産の高級食材を感知できない理由
この番組で、ラードと紹興酒の組み合わせのすごさを、浜田チャーハンは示したね。
もちろん、
『うまみの相乗効果』に食傷気味 - こんぶ土居店主のブログ
の方の記事にもあるように。
美味しい料理や、味覚の世界は、単純に旨味を重ねれば美味しくなる、というわけでもないんだよな。
足し算をしすぎて、食材を増やし過ぎて、何か味がぼやけた料理は、俺もたくさん食べてきた。
単純に手数を増やして旨味の化学反応を増やせば美味しくなるとも言い切れない。
あるアミノ酸の旨味を、別のアミノ酸が阻害するような、マイナスに作用するケースだってあるかもしれない。
まあ自分はそこまで科学に詳しくないので、それは説明できないけど。
ただ最後に、なぜメゾン・ド・ユーロンがオホーツク産の蟹や帆立等を使用しても、浜田チャーハンばかりが選ばれてしまったか?について、説明しておこう。
それは「チャーハンだから、具材が小ぶりにされてしまう」という点だ。
美味いチャーハンを作るには、米に対して具材が大きすぎると、炒めた米の甘味や旨味の味がぼやけてしまう。
もちろん、肉塊を載せるチャーハン等、そういうチャーハンの話は別だ。
王道の、米を主役とするチャーハンにおいて。
ミシュランの星を取る店が、チャーハンの根幹である、米の味を軽視するチャーハンを出すことはできない。
だからガクトも「Aの米は、噛んだ時の水分量が、ゆっくり噛んでもずっと粘りがあって、最後まで水分を含んでいるのにたいして、BとCは噛んだ途中からプツッ、プツッ、と、ちぎれる」「圧倒的に米は、Aの方が質感が高くて」「ミシュランが安い米、使うか?」と評価したように、米は抜群に美味かったのだろう。
しかし米の味を美味しく残すためには。
海鮮の食材は、小ぶりにカットしないとならない。
すると、細切れにされたことでオホーツク産の食材の食感や風味は損なわれ、美味しさの決め手が「旨味の強さ」等の土俵に持ち込まれてしまう。
わかりやすく例えるなら。
華麗なる食卓22巻で、主人公の高円寺マキトが言ってたように。
臭味は香辛料で消せる!
肉質の堅さはミンチにすることで解消できる!
となれば―――
旨味の濃いマトンのが絶対いい!!
(引用元:華麗なる食卓 22 [ ふなつ一輝 ]p73)
そうミンチにするなら、ラムよりもマトンなんだ。
価格は、一般的にはラム肉の方が高いにも関わらず、ミンチ肉という調理をすることによって、食材の希少性や高級さ等は、関係がなくなってくる。
同様にチャーハンも、具材はミンチほどではないものの、米との食感のバランスを考えると、小ぶりにされてしまう。
繊細な食感や風味等の勝負ではなく、旨味の強さの勝負に持ち込まれてしまい、オホーツク産の素材はアドバンテージを発揮できず、ほぼカニやほぼホタテと勝負する羽目にになる。
また、浜ちゃんが使ったラードも曲者だ。
これを読んでくれてる人も、魚介豚骨ラーメンや、魚介豚骨つけめんを、食べたことぐらいはあると思うが。
魚介の風味がしなくて、豚骨の風味ばかり強い店が、今までなかっただろうか?
そう、豚のコク、脂の旨味、これは味が強いんだ。
おそらく一流のミシュランの店の場合は、海鮮チャーハンで海鮮の素材を活かすために、味の強い油を使わないようにしたのかもしれない。
しかしその上品な風味よりも、脂の旨味やコク、ラードの力に、皆は惹かれてBの部屋に入っていった…。
つまりチャーハンという料理の特性上。
オホーツク産の素材を、活かすのは難しいのかもしれないね。
上質な霜降り肉を、ミンチ肉にしてしまうようなもんだ。
料理の美味さは、ミシュランの星の数やシェフの腕だけで決まるわけではないというのを、思い知らされる番組だったね。
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