松屋の「松屋復刻メニュー総選挙」で、1位になったメニュー。
「シュクルメリ鍋定食」を、食べてみることに。
券売機でメニュー。
シュクメルリ鍋定食にはサラダが付いている。
シュクメルリ鍋ライスセットは、サラダ無しか。
健康のためにサラダを付けておこう。
ライスのサイズ変更、無料だね。
では大盛にしておくか。
待つこと5分ちょいぐらいかな、来たぞ。
鍋で提供してくれるのか。
ホワイトソースの中にニンニクが溶け込んでいる…美味いじゃん。
具材は鶏肉とサツマイモか。
うん、まあ美味い。
ご飯とも、意外と合うが。
なんつーかでも、やっぱそこそこだよなぁ、そこまで美味しくない。
途中から飽きてくる。
正直、味わいが単調で、直線的なんだよな。
なぜ、そのような評価にならざるを得ないのか、4点にまとめて以下、説明していく。
1.具材の少なさによる塩味の過剰
漫画の包丁人味平10巻に、興味深いエピソードがある。
最初の2、3口は美味いけど、食べ進めると塩辛くなってきて、美味しくない味になるっていうね。
か、辛い!!
ど どうしてだ!
味みをした時はちょうどいい味だったのに!!(画像引用元:包丁人味平 〈10巻〉 点心礼勝負5 [ 牛次郎[原作] ] p129)
これと同じ現象が、松屋のシュクメルリにも起きている。
なぜ、塩味が強くなってしまうのか?
それは、具材が少なすぎるだ。
鶏肉とサツマイモだけっていうね。
シチューだって、ブロッコリーだとかキノコ類だとかニンジンとか入れたりするだろうよ。
この具材の種類の少なさによって、食べ進めると塩味の角が際立ってしまう。
もし、豊富に野菜を入れていれば。
野菜の水分が、浸透圧でホワイトソース側に溶け出す。
野菜に塩をかけると、水がしみ出してくるのはなぜ?
野菜に塩をかけた場合も、外側の塩と野菜に含まれる水が混ざり合おうとします。
しかし、塩と水の間に『半透膜』があるので、塩は中へ入れず、一方的に真水が細胞の外へ移動することになります。
このような現象を『浸透』といいます。
ちなみに、ナメクジに塩をかけると、ナメクジが小さくなるのも、『浸透』によるものです。なお、人間の場合は、水を通さない皮膚で覆われているので、塩をかけて小さくなるようなことはありません。
それによって塩味が和らぐはず。
ホワイトソースの量が多すぎて、塩味ばかりが目立つってくる。
それが、松屋のシュクメルリの味わいを単調にしている原因の1つ目だ。
2.酸味の欠如
ホワイトソースにはニンニクとチーズが含まれているが。
酸味を担う食材がない。
鉄鍋のジャン5巻で、羊のヨーグルトの酸味を使って、野菜の味を引き立てるシーンがあったように。
ハクビシンの骨と鶏ガラでスープをとり 羊の乳と羊のヨーグルトを混ぜた物―――乳製品は実に野菜の味を引き立てるのが上手です!
(引用元:鉄鍋のジャン 05[ 西条 真二 ]p338)
酸味によって塩味を抑えたり、味にコントラストやグラデーション、幅を持たせることができるはず。
おそらくジョージア本国のシュクメルリは、大雑把に魔改造されたものではなく、もっと繊細な味わいのはずだ。
乳製品を使わないものもあるようだし。
また、ジョージアワインというぐらい、ジョージアはワインが有名だ。
ジョージアのワインづくりは8000年の歴史、世界最古の無形文化遺産からサステナブルを学ぶ | サスタビ
クヴェヴリは素焼きの甕壺でその大きさは容積100ℓほどのものから大人一人が入れるような2,000ℓまでさまざま。クヴェヴリを温度の安定した地中に埋めてその中に破砕した葡萄の果汁、皮や種、茎などを入れてワインをつくるのです。
ジョージアでもっともよく飲まれ、またつくられるのは白ワイン。しかしその白ワインは皮、種、茎をクヴェヴリの中に残したまま発酵・熟成過程を数ヶ月かけて行うため、タンニンなどが抽出されて特徴的なフレーバーと味わいを持った琥珀色のワインに仕上がります。この美しい琥珀色からジョージアの白ワインはアンバーワイン、またはオレンジワインとワイン愛好家の間で呼ばれて珍重されているのです。
そしてジョージアのオレンジワインには、酸味もあるみたいだから。
オレンジワインとは? 赤・白・ロゼに続く話題のワインに迫る! | nomuno lab (ノムノラボ)
口の中がきゅっとするような酸味を持つオレンジワインの場合は、食前酒としてもお勧めです。
本場ならもっと、酸味を活かしたものに仕上がってるはず。
松屋のシュクメルリは、圧倒的に酸味が足りず、バランスが悪い。
ワインもしくは、ワインビネガーを使って、もっと酸味を利かせるべきだ。
ちなみにワインビネガーとは「ワインを原料にしたお酢」のこと。
「お酢きびと #4 | BS松竹東急」
で紹介されていた製法では。
原料にしたいワインに、水とお酢を加え、間口の広い瓶などの容器に注ぐ。
30℃に保ったぬるま湯に入れて発酵を促し、4~5日ほど時間を置くと、アルコールが酢酸菌と反応し、ワインビネガーになる。(酢酸発酵)
ワインを酢酸発酵して作るお酢なので、ぶどうの品種により味や香りが変わるとのこと。
お酢博士の赤野裕文氏によると、ソーヴィニヨン・ブランビネガーは、柑橘やハーブの清涼感のある香り。
ピノノワールビネガーは、ラズベリー・いちご・チェリー等の赤い果実系の香りがあるそうだ。
もちろん、松屋側も酸味は意識はしているみたいだが。
松屋「シュクメルリ鍋」復活にジョージア大使が歓喜 独占取材で語った郷土料理へのほとばしる熱い思い
日本人の舌に合わせるために、「しょうゆなど、ご飯に相性の良い調味料を使って調整しています」と話す。「他にもレモン汁を少し入れているので、にんにくのおいしさを引きだし、香りを抑えることで、ご飯に合うようにしています」と、味付けを工夫したようだ。
レモン汁を入れているようにね。
ただ、それで味の調整弁となる酸味として機能するかというと、疑問だね。
確かにレモンの酸味、クエン酸の沸点は175度と、高めではあるが。
【酸味は熱に弱い?】酸味の種類と熱が分解される温度の違い | 元料理人Blog
ryourininpapa.com
やはり煮立てると、酸味の風味は弱まる。
ドラマの「フェルマーの料理」第4話にもあった。
板垣李光人が演じる乾孫六の台詞で、
「フルーツは加熱すると香りや酸味が失われて、甘味だけが残るから、せっかくのイチジクの持つ複雑な味が活かしきれない」
「それに、加熱しすぎると水分が膨張して繊維が壊れるから、形が崩れてグジュグジュになっちゃうんだよ」
ってのが。
そう、こんな熱々の鍋定食で提供したら、酸味は後退する。
ジョージア大使は、母国の宣伝にもなるから歓喜したみたいだけど。
別のジョージア人に「他にも野菜あるのにね」と言われてしまってる。
鈴木雅之みたいな感じだ、「ちがうちがう♪そうじゃな~い~♪」ってね。
感動しなかったジョージア人には、母国料理を食べた時のようなノスタルジーも喚起されなかったんだろう。
ジョージア大使は歓喜したのかもだけど。
日本人だって物足りない、少なくとも俺はそう。
具材の種類の少なさ、酸味の欠如、そして3点目の話に移るか。
3.スパイスやハーブの不在による平坦な味わい
スパイス、ハーブ、味付けの物足りなさがある。
ジョージア大使館レシピの方のシュクメルリを見るとわかる。
パプリカパウダー、コリアンダーパウダー、ブルーフェネグリークパウダーなどのスパイスをふんだんに使用している。
そして、ソースを煮立たせない。
これは華麗なる食卓17巻にもあるように、スパイスの風味を熱によって飛ばさないための工夫だ。
煮込み続けるコトによって起こるスパイスの風味の低下…
根本的なコクの不足…
(引用元:華麗なる食卓 17 [ ふなつ一輝 ]p139)
また、スパイスを使うことで、味わいに奥行きも生み出してる。
そして最後、4点目。
4.鶏の旨味の不足
鶏の焼き方、鶏の調理だ。
先に紹介した動画の大使夫人の作り方では、鶏肉を香ばしく焼いて、しっかりメイラード反応を起こしてる。
さらに鶏肉から出る鶏油を、ホワイトソースに混ぜているのが確認できる。
つまり鶏肉の旨味と、ホワイトソースの旨味、異なる味わいを重ねてる。
ラーメンでいうところのダブルスープみたいな合わせ技だ。
一方、松屋はどうだ。
鶏肉には焼き色はほとんどない。
一部、付いているものもあったが。
だが、鶏肉から出る鶏の旨味よりも、ほとんどホワイトソースの味ばかり。
大使夫人と違って、鶏の肉汁や肉汁を活用できてない。
ホワイトソースで雑に煮立たせ、全体の味を平坦にしてしまってる。
以上4点が、このシュクルメリ鍋定食が単調な味わいで、あまり美味しくない理由だ。
まあ、チェーン店に求めすぎかもなぁ。
ワインとかスパイスを使うとか、コスト的に無理なのかもしれない。
大使夫人のシュクメルリが美味そうだよね…食べたいなぁ。
【アローン飯なび更新中!地図からおひとり様でも行きやすいグルメ情報が検索できます】
<最近アローン飯なびに追加したお店>
「中華料理 純華」の口コミを追加。
富士見台駅近くの #中華料理純華 。#鳥のから揚げ 美味かった。衣サクサク、肉汁しっかり、ジューシーで柔らかく、大ぶり。チャーハンもスパイシーな胡椒がいい感じ。#富士見台唐揚げ #西武池袋線唐揚げ #練馬区唐揚げ / “富士見台駅南口から町中華「中華料理 純華」へ!「…” https://t.co/gA6hGKurYy
— 令和の寅次郎 (@reiwatorajiro) April 10, 2024
ブログランキングも参加中です。